ITを活用したブランド構築

 

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事例1-4
ITを活用し顧客と共に商品開発を行いながら、自県商品を全国ブランド化
(対 個人消費者向けの商品開発)

白書本文(中小企業白書 2004年版P 77)より抜粋

 E社(長崎県、従業員数8名)は「にがり」専門の飲食料品製造・小売業。同県のものを全国に広げてブランド化していきたいとF代表(36歳)が1993年に個人創業、2003年に法人登記した。

【地元の生産物を全国へ】
 F代表はこれまで数社において経営経験を持つが、そこで経営ノウハウを習得するだけでなく、何とかして地域経済を活性化させたいという課題意識を持つようになった。そのようななか、自県のいくつかの名産物が他県・他社のブランドで扱われていることを目の当たりにし、この問題を何とかしたいという危惧の念から当社を興すに至った。
 2000年に当時まったく知名度がなかった「にがり」を知り、これを全国に自県ブランドとして売り出したいと思い、インターネット販売を決めた。インターネットについてはITバブル崩壊でその機能については疑問視されていた折であったが、使い方に工夫が必要なだけであり、地方企業が全国区に売り出すためには不可欠なツールであると認識していた。
 塩の生産段階で副産物として抽出される「にがり」は豆腐づくりに用いられることで知られているが、マグネシウム、カリウム、カルシウムなどを豊富に含むため、アトピー、花粉症、シミしわ、ダイエットなどに良いと口コミで広がっている。また、電極を利用したフィルターをつかったイオン交換膜透析法により、ダイオキシンや重金属が取り除かれるため、品質には絶対の自信を持っている。売上は多い月で1億円、一日のホームページアクセス数は1,200件位となっている。

【顧客とともに市場・商品づくりに励む】
 「当社の仕事はものを売ることではなく、ファンを作ること」という理念を毎朝朝礼で社員に伝えてきた。今はモノだけでなくそれにサービスを付けていかなければならない。当社ではそれを製品に対する「安心感と感動」と位置づけている。そのために、〔1〕消費者の製品に対する疑問・照会にすぐ対応できるよう、インターネット専属要員(2名)と電話(フリーダイヤル)での照会対応要員(8名、うち栄養士1名)での体制を構築、〔2〕商品解説のビデオや解説書、付属品などを付けて無料で提供、〔3〕顧客からの照会内容をQ&Aにまとめ、自社ホームページに掲載、〔4〕自社HP掲示板を活用し、顧客と一緒に製品開発を実施、〔5〕購入した際の料金は後払いでも取り扱う、などの取組を行っている。ブランドとして長く愛されるためには、その製品や業界自体が信用されなければいけない。例えば、追随他社による類似商品が出たとしても、業界内で商品の効能を正確に過大偽りなく評価し続けていれば、業界の信頼を損なう類似品も出ないであろうと考えている。そのために「にがり研究所」などを設立して調査・分析を行い、顧客の製品利用情報などを元に情報公開をしっかりと続け、商品の効用に対する評価や問題点などもインターネットで顧客と共に行うなど、顧客参加型の市場を作るように心がけているという。

【中小企業のインターネット利用心得】
 もともとスタートアップ期の事業者がインターネットで販売するには工夫が必要だと感じていた。ウェブサイトのサポートを行ってくれる企業と打合せを何度も行い、まずはアクセス数を増やすために懸賞付きアンケートを行った。その結果、アクセス数が増え、大手の検索サイトでも「にがり」と検索するとトップに出てくるようになった。ここから売上が出始めたという。また、アンケートのデータを活用して、顧客の関心ごとに違った内容のPRメールを送って販促を行った。
 ITの活用は「誰にとって便利なものか」をしっかりと考えることが重要だという。つまり、個人消費者を相手にしているのであれば、個人顧客にとって便利だと思える仕組みでなくてはいけず、決して当社にとって便利であってはならない。同じメッセージのメールを大勢のお客に送りつければ効率的であるが、それで顧客に本当の思いが伝わるわけがない。ITの便利さは1対1,000顧客のマスマーケティングではなく、1対1を1,000顧客分対応することが可能であること、である。商品購入時に購入動機のアンケートを行い、そのアンケートを元にして、顧客1人1人にその人のもつ悩みなどに対応できるようなアドバイスやメッセージを送っている(商品購入10日後、1ヶ月後、3ヶ月後、半年後)。また、効果があったと言って頂けるお客様には体験談を掲示板に書き込んでもらえるようにメールでお願いしている。これが商品品質のスクリーニング機能を果たし、この体験談を見て、「安心して買える」と思ってくれる顧客が多く存在するという。
 このように、自社ホームページ上にコミュニティができ、ここでもらった意見を商品開発に活かしている。開発途中でも意見をもらい、最後はネーミングも募集して製品化を行った。消費者は商品開発の過程をリアルタイムに確認し、自分の意見が商品化されることから、消費者も関心を持って購入に当たってくれるという。

【雇用提供を通じて、地域経済に貢献】
 同県のブランドを全国展開していくために、製品を造っている人たちはやはりそこの住民であってほしい。当社の事業を通じて、地域の雇用をまかなっていきたいと思っている。製品のラッピング、封入、発送作業は機械化できる部分も多いが、自動化するとその機械を作った企業に資金が流れるだけで、雇用は増えない。人間でできることはできるだけ人間に効率的にやってもらって、雇用を生みだしたい。そうすれば同県のブランドを推進するメリットを地域の人に理解してもらえることにつながると考えている。当初、これらの作業はパート6名でやってもらっていたが、現在は注文にすぐに対応できるよう、パート80名を雇い、地域雇用につなげている。また、地域の障害者センターとの付き合いのなかで、障害者が社会活動の場を求めていることを知り、製品のラッピング作業を請け負っていただき、利益を施設に還元している。複数の施設で1日あたり120名に作業を行ってもらっている。
 現在のビジネスに魅力を感じるのは、商品そのものに対して顧客が本当に喜んでくれることと、出身県のブランドを広め、それによって地域の雇用増加につながるからだとF代表は言う。同県のブランドとして、末永く愛される商品となるよう、利益が出ている今だからこそ、テレビCMなどの広告宣伝もしっかりやっていきたいと思っている。
 

 

 

 

 
 
 

 



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